「美術館問題について大いに語る会」のホームページでは、沖縄県の美術館問題に関する情報を中心に掲載しています

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安座間安司
美術批評家/ 「美術館問題について大いに語る会」実行委員会代表

小林純子
沖縄県立芸術大学助教授

倉成多郎
博物館学芸員・地方公務員

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  (尚弘子座長)

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  アウト・オブ・ジャパン、そしてアジアへ(1994)

1994年2月、「アウト・オブ・ジャパン」をキーワードに開催された「沖縄県立美術館建設を考えるシンポジウム」企画趣旨(安座間氏講演資料より)

沖縄県立美術館建設を考えるシンポジウムに向けて (1994年2月)
  昨年の8月に「県立美術館基本構想検討委員会」が発足し、美術館建設に向けて基本構想が検討され始めたことが公にされてから、美術館建設がにわかにクローズアップされてきています。地元マスコミでも美術館のあり方と建設への期待、注文、疑問、批判などの意見を掲載し、大きな関心を寄せています。2000年新しい世紀の扉を開くこの年が美術館誕生の年になるといわれています。
  これまで機会あるごとに美術館の必要性が叫ばれ、建設運動も実際に組織されてきましたが、実現までにはいたりませんでした。いわば、美術館の建設は沖縄の美術関係者や美術を愛好する多くの人々の夢でした。この夢が現実になろうとしています。このこと自体は喜ぶべきことに違いありません。
◆……
  しかし、戦後48年目にして初めて動き出した美術館構想には、沖縄の美術表現の歴史と現在、すでに造られている既存の美術館や関連する施設が抱える問題性、どのようなポリシーで運営していくのか、つくることと視ることを媒介する空間思想、建築とのリンケージ、そして<いま>、<ここに>美術館を造ることの意味と価値など、解決しなければならない様々な問題があるように思われます。
  このことは、個別ジャンルの枠内にとどまらず、沖縄の文化のオリジナリティーと世界へ開かれた共時性が試されているということでもあります。新しい世紀の扉を開く年にスタートする美術館のハードとソフトには少なくともこうした問題をクリアーした内実がなければならないのではないでしょうか。
  つまり、美術館建設は沖縄の<文化問題>でもあるという意味でもあります。このことの徹底的な自覚が必要とされます。そうでなければ、47番目に造られた美術館というだけの凡庸さを演じることになりかねません。
  「基本構想検討委員会」はこのことについてどう考え、どのような基本構想を作成しようとしているのでしょうか。「委員会」の役割は重い。私たちは一定の危惧を覚えると同時に、その動向に注目するものでもあります。
◆……
  日本は「ギャラリー列島」、「美術館列島」などと揶揄されたり、半ば自嘲気味に語られたりするように、経済の上昇曲線をなぞる形で、県立の美術館が1970年代から各地に次々と造られてきました。文化が行政のスティタス・シンボルのようにも受け取られ、今や県立から市町村立まで量的な広がりをみせようとしています。
  しかし、幾つかの例外を除いて、表面の賑やかさとは裏腹に、その内実は実に寒々としたものだといわれています。器は造ったものの、中身が伴わない。似たような器を似たような題目を唱え後追いする、憂うべき事例を招いているのが現状のようです。
  これは美術館という西欧の制度を咀嚼し、転生させるまでの人的、物的、精神的な土壌が充分に成熟していないということにもありますが、何といってもそのネックにあるのは、美術館自体のポリシーの欠如、美術館を在らしめる根拠への徹底性の無さにあるといってもいいでしょう。
◆……
  いま、私たちの目の前には中途半端な妥協が生んだ「美術館列島」の玉虫色の風景が横たわっている、といっても過言ではありません。
  新しく造られる美術館は、少なくとも、こうした日本の美術館を取り巻く状況から離脱するものでなければならないのではないでしょうか。沖縄の美術館が、顔のよくみえない47番目の美術館として最後列に加わるだけに終わるのか、それとも開かれたアート空間を創造できるかどうかが問われているといえます。
  沖縄にこだわりながら、沖縄という枠組みを超えていく、そのような地域的個性と普遍性が同在する空間としての美術館は出来ないものなのでしょうか。
  地域的個性と普遍性、私たちはこれを沖縄の<アジア性>と呼ぶ。ここでいうアジアは単に地理的なそれを指すだけではありません。沖縄が歴史的・地理的に蓄積した経験を掘り起こし、組み替えながら、新たに見い出していく<関係概念>であり、創造される<交通空間>である、ということです。
  想像し、創造する力によって初めて拓かれ、みえてくる場所ー<アジア>とはこのような発見されるべきαのようなものなのです。このαのようなアジアを発見し、根拠にすることは、沖縄の近代と戦後の思考ががんじがらめにされ、今も陰になり日向になり沖縄の意識や無意識を拘束し、日本のしっぽで凡庸な悲・喜劇を演じる47番目のコンプレックスを書き替え、自由になることにもつながると考えます。
  東京・本土から流れてくる情報によって振り回されたり、オーソライズされたつもりになることの不毛さを知るべきではないでしょうか。情報の回路を変換し、情報を発信するオリジナルを自らの手によって創り上げるべきときです。
  そこに在ることによって世界と相渉ることが可能となる、そのような空間であってほしいものです。器の使用価値だけではなく、美術情報や作品を外部と交換し得るだけの価値を生むアート体でなければならない、私たちはこのように認識するものです。
◆……
  私たちは、美術館建設問題を通して、沖縄の近代と戦後の表現シーンをつまらなくした<47番目の思考>の枠組みを離れ、美術館理念の新しい地図をつくりあげていくことを目指していきたい。こうした地平においてしか沖縄の美術館の生きる道と方法はないと考えます。そのことに強く拘りたい。
  このような沖縄の美術館建設を取り巻く<内>と<外>の問題点を明らかにし、沖縄という土地で、沖縄でしかだせないソフトを創り出していく横断的な場とするためにシンポジウムを計画しました。
  このシンポジウムによって、アジア的なスケールに据え直された沖縄の美術館建設をめぐる具体的な問題点と、在るべき方向性がみえてくることを確信するものです。
  アウト・オブ・ジャパン、そしてアジアへ

那覇市立図書館(久茂地図館K706.9 ホ)(中央図書館K706.9オ)
浦添市立図書館(閉架一階 K/700/オ)

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